食中毒対策
2025/09/16
秋といえば、サンマ、サケ、サバ、アジといった旬の魚が食卓を彩る季節です。脂がのった魚を刺身や寿司で味わうのは、日本の食文化の大きな魅力でしょう。しかし、その裏側にはアニサキスという寄生虫による食中毒リスクが潜んでいます。
アニサキスは体長2〜3cmほどの白い線状の寄生虫で、サンマやサバなどの魚介類の内臓や筋肉に生息しています。人がこれを生で食べてしまうと、激しい腹痛や吐き気を引き起こすことがあります。厚生労働省のまとめによると、食中毒の原因としてアニサキスは毎年上位に入っており、特に秋は発生が増える傾向にあります。
厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
アニサキスによる食中毒の典型的な症状は、
・食後数時間で始まる激しい腹痛
・嘔吐、吐き気
・内視鏡で虫体を発見できる場合が多い
です。場合によっては腸閉塞やアレルギー反応を引き起こすこともあります。
水産庁の情報によれば、アニサキスはサバ、サンマ、アジ、サケ、イカなどさまざまな魚介類に寄生する可能性があり、とりわけ「生食」でのリスクが高いとされています。特に秋のサンマやサケは旬を迎え、多く流通するため注意が必要です。
農林水産省「海の幸を安全に楽しむために」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/anisakis.html
アニサキス食中毒は正しく調理すれば防ぐことができます。代表的な予防策は次の通りです。
60℃で1分以上、または70℃以上で瞬時に死滅します。
焼き魚や煮魚にすればリスクはほぼゼロ。
-20℃以下で24時間以上冷凍すれば死滅します。
冷凍用の家庭用冷蔵庫は性能が異なるため、業務用冷凍や市販の冷凍加工品を選ぶのが安心。
内臓に寄生するため、漁獲後はすぐに内臓を取り除く。
刺身にする場合は目視で確認し、除去する。
スーパーや飲食店では、仕入れ・加工段階でリスク低減のための処理が行われているケースが多い。
ただし、透明なアニサキスは魚の筋肉に入り込むと見つけづらいため、目視だけに頼るのは危険です。
秋の味覚を安心して楽しむには、調理法や保存法に気を配ることが第一歩です。家庭でできる予防に加えて、最近ではアニサキスを発見するための専用ライトが注目されています。
この「アニサキス発見ライト」は、特殊な波長の光を当てることで寄生虫を透過しやすくし、肉眼で見えにくいアニサキスを確認できるというものです。すでに市場には、業務用として水産加工業者や寿司店などで導入が進んでいます。家庭向けにも比較的コンパクトなタイプが出回りつつあります。
例えば、農林水産省の研究成果を応用した製品や、食品関連機器メーカーから市販されている透視ライトがあります。これを利用することで「どうしても生で食べたい」という場合のリスク軽減に繋がります。
もちろん、ライトで全てのリスクを取り除けるわけではありませんが、生魚を扱うプロの現場での導入、食品衛生管理の強化ツール として活用価値が高いといえるでしょう。