「ペスト」とは害虫(ゴキブリ・蚊・チョウバエ・ダニ等)・ネズミ・害鳥(ハト・カラス等)などの有害生物のことをいいます。そして、人に有害な生物の活動を、人の生活を害さないレベルまでに制御する技術を「ペストコントロール」と言います。
食に関する衛生面で、問題になりやすいのが害虫です。対策や対処をするには、まず特性を知り、発生・侵入した原因を突き止めることが重要と言えます。
飛翔昆虫の侵入原因:光・匂い・隙間/歩行性昆虫の侵入原因:隙間
イエバエ
鶏舎や豚舎の動物糞、牛舎の堆肥、ゴミ処理場のゴミなどからよく発生します。ハエ類は、サルモネラや赤痢菌、赤痢アメーバや各種の寄生虫、およびポリオウイルス(小児麻痺)を伝播することが知られており、特にイエバエは病原性大腸菌0-157を媒介することが知られているため、衛生上、極めて重要な害虫です。人体に入ると、ハエ症を引き起こすこともあります。
ユスリカ
夏の終わり頃の日没時などに群れで飛んで「蚊柱」を作る特徴があるユスリカは、蚊に似ていますが、人を刺すことはありません。しかし、大量発生し、工場の異物混入の原因になったり、アレルゲンとなる死骸やその粉末を吸入してしまった場合には、ユスリカ喘息を引き起こす危険性があるので注意が必要です。
ガガンボ
蚊によく似ていますが、蚊よりもはるかに大きい虫です。成虫になっても人を吸血することはありませんが、幼虫のときに稲や麦を食害する種類もいます。光に誘引されて屋内に飛来してきます。叩くと体の部位がバラバラになり、異物混入にもつながるので、工場などでは注意が必要です。
ウンカ
ウンカは体長5ミリほどの小さなセミのような形をした虫で、口吻(こうふん)と呼ばれる口針をイネの茎に刺し、師管液を吸い取って生きています。田んぼに発生するウンカの中でも、トビイロウンカは、梅雨時期にやってきて、ごくわずかでも繁殖力が強く、1カ月で世代交代を繰り返しながら増殖していきます。3世代目となる秋ごろには爆発的に数が増えたトビイロウンカがイネの養分を吸うことで、田んぼの一部が円形状にまとまって枯死、倒伏してしまう「坪枯れ」の被害が発生しやすくなります。
羽あり
羽ありは繁殖行動として結婚飛行をおこないます。この際、羽ありの大群が発生し、灯火などに誘引されて家庭内に侵入することがあります。基本的には野外で生活していますが、エサを求めて僅かな隙間から屋内に侵入することもあります。
発生原因:湿潤環境(水溜まり・側溝)、乾燥環境(塵・粉)
チョウバエ
排水管や汚水や下水などから多数発生することがあるため、不快害虫とも言われています。
食品に止まったり産卵したりすることがあり、気付かず飲み込むと「ハエ症」を引き起こすことがあります。また、チョウバエが媒介して悪質な菌が食品などに付着することもあり、微生物汚染のリスクを高めます。
ノミバエ
後脚の腿節がノミのように太いハエ類で、溜めた生ゴミ、清掃していない排水管、風呂場の浴槽下等から大発生することがあります。ノミバエは非常に小さく、俊敏で、食材や食品に異物として混入するリスクが高い害虫です。汚物やヘドロが堆積する不潔な箇所で発生するため、食品に接触した場合、食品衛生上も重要な問題となります
ショウジョウバエ
パン、腐敗した果物・野菜、ビールなどの酒類、フルーツジュースといった発酵物に集まり、生息、繁殖する習性があります。ショウジョウバエは食材を扱う施設で発生しやすく、食材や食品、飲料へ集まる習性があるため、異物混入を生じるリスクが非常に高い害虫です。
メイガ
メイガ類の多くは野外性のガで、農業害虫と知られているものも少なくありません。
メイガの仲間には、米ヌカや小麦粉などの穀粉、穀類、乾燥果実、コーヒー豆、調味料、クッキーやチョコレートなどの菓子類、飼料やペットフードなどの食品を好む種類もあり、世界的な食品害虫となっています。
チャタテムシ
体調が1mmのダニよりも大きめの見た目をした虫です。
カビなどの菌類や人間のアカなどの有機類を餌にするため、カビなどが発生しやすい湿度の高い場所を好みます。加えて、紙や乾麺などもエサにします。大量に発生しやすく、食材にも侵入するため、チャタテムシのフンが体の中に入ると、アレルギーを引き起こすことがあるので注意が必要です。
その1
寄せない
その2
入れない
その3
取りきる
捕虫器を効率的に設置することで、単に虫を捕獲するだけでなく、虫に関する場内の状況把握をすることができます。
この手法をモニタリングといい、期間を区切って記録し、データ化することで、更なる防虫対策に役立てることができます。