
2026/01/29
食品メーカーの品質管理担当者の皆様にとって、HACCPの義務化以降、次なるステップとして「どの規格を目指すべきか」「現在の規格をどうブラッシュアップするか」は、常に大きな課題です。
特に、日本発の国際標準規格であるJFS規格において、新たに登場した「JFS-B Plus規格」は、従来のJFS-B規格と何が異なり、どのようなメリットがあるのでしょうか。
本稿では、JFS-B規格とJFS-B Plus規格の相違点、そしてPlus規格が解決する現場の「お困りごと」について、実務に即した視点で解説します。
現在、多くの食品メーカーがHACCPに基づく衛生管理を運用していますが、取引先からの要求は年々高度化しています。
特に海外展開や大手流通との取引においては、GFSI(国際食品安全イニシアチブ)の承認を受けた規格や、それに準ずる国際水準の管理が求められる場面が増えています。
JFS-B Plus規格は、従来のJFS-B規格(Ver.3.0)をベースに、「グローバルマーケット・プログラム」の要求事項を追加した規格です。
大きな特徴は、GFSI承認規格である「JFS-C規格」へのステップアップをよりスムーズにする点と、国際的な業界団体が求める「ケイパビリティビルディング(能力向上)」の要素を強化している点にあります。
品質管理課が最も注目すべきは、単なる「項目の追加」ではなく、管理の「質」がどう変わるかという点です。
主な変更点は以下の3つの柱に集約されます。
JFS-B Plusでは、新たに**「食品安全文化(フードセーフティカルチャー)」**の要素が明確に組み込まれました 。
経営層の責任:
単に組織図を作るだけでなく、従業員への周知の証拠(記録)を残すことが求められます 。
コミットメント:
従業員とのコミュニケーション、改善提案への対応、パフォーマンス評価など、組織全体で食品安全に取り組む姿勢をシステム化する必要があります 。
意図的な汚染や経済的利益を目的とした不正に対する要求が、より具体的になりました。
食品防御(フードディフェンス):
脆弱性評価に基づき、アクセス管理の設置や、汚染の疑いがある場合の対応手順の策定が必須となります 。
食品偽装防止対策:
記録・表示の改ざんや意図的な希釈などのリスクを特定し、「食品偽装低減計画」を文書化して実施
しなければなりません 。
トレーサビリティ:
「ワンステップ前・後」の把握に加え、製造工程全体を通じたバッチ管理、再生品、手直し品の識別記録がより厳格に求められます 。
サプライヤー管理:
緊急時(未承認サプライヤーからの購入)の手順や、評価・承認の結果を記録として維持することが明確化されました。
実務レベルでは、JFS-B Plusの導入は現場の課題解決に直結します。
【解決策】食品安全文化の醸成
JFS-B Plusは「社長が何を考え、どう現場を評価しているか」をシステムに組み込みます 。
双方向のコミュニケーションや教育訓練のパフォーマンス評価を行うことで、従業員一人ひとりが「自分の作業が食品安全にどう直結しているか」を自覚する仕組みを作ります 。
【解決策】管理計画の文書化と検証の徹底
Plus規格では、アレルゲン管理計画を単なる「注意」ではなく、文書化された手順として確立することを求めます 。
清掃・洗浄手順の「検証(ふき取り検査等)」
までをセットで行うため、科学的根拠に基づいた安心感を得ることができます 。
【解決策】保守後の「復帰手順」の明確化
多くの異物混入は、修理やメンテナンスの直後に発生します。
JFS-B Plusでは、保守活動そのもののルールだけでなく、**「保守完了後に食品製造が可能な状態に復帰させる手順(清掃・殺菌)」**を仕組みに含めるよう求めています 。
【解決策】国際水準への適合証明
JFS-B Plusは、グローバルマーケット・プログラム(中級レベル)に準拠しています 。
これにより、「弊社は国際基準に沿ったケイパビリティ(能力)を持っています」という客観的な証明がしやすくなり、信頼獲得の武器となります。
JFS-B Plus規格への対応は、単に「書類を増やすこと」ではありません。
それは、予期せぬトラブル(意図的な汚染や偽装)から会社を守り、従業員の努力を「食品安全文化」という価値に変えるプロセスです。
差分分析(ギャップ分析)
現在のJFS-B運用に対し、特に追加された「赤字部分(追加要求事項)」を自社のマニュアルと照合します 。
経営層の巻き込み
「食品安全文化」は現場だけでは成立しません。
経営層に対し、リスク低減とブランド価値向上におけるPlus規格の重要性を説明しましょう 。
教育の再定義
従来の「やり方を教える教育」から、「なぜその役割が必要なのかを認識させる教育」へとシフトします 。
JFS-B Plus規格の取得は、組織の品質管理の質を一段階引き上げる絶好のチャンスです。
国際水準の管理体制を整え、食の安全を支えるプロフェッショナルとして、更なる高みを目指していきましょう。
本規格に関する詳細や、具体的なチェックリストの作成、現場での導入支援が必要な場合は、ぜひ株式会社丸信の衛生プロジェクトチームまでご相談ください。
貴社の現状に合わせた最適なプランをご提案いたします。