logo

冬の食品衛生で潜む危険!黄色ブドウ球菌による食中毒の徹底解説

食中毒対策

2025/12/19

冬の食品衛生で潜む危険!黄色ブドウ球菌による食中毒の徹底解説

1.黄色ブドウ球菌の基本特性

黄色ブドウ球菌は、ヒトや動物の皮膚、鼻腔、咽頭、傷口などに広く常在している細菌です。
健康な人でも約30〜50%の鼻腔や皮膚、消化管に存在しているとされています。

この菌は環境抵抗性が強く、乾燥した場所でも生き残ることができますが、特にヒトの化膿した傷口や、手荒れ・ひび割れなどの皮膚のトラブル箇所に高濃度で存在しています。

増殖温度帯:6.5~46℃(最適温度帯は30℃~37℃)

2. 他の食中毒菌との決定的な違い:「毒素型」

食中毒のメカニズム

サルモネラやO157といった多くの細菌性食中毒が「感染型」(食品中の菌を摂取し、腸内で増殖・感染することで発症)であるのに対し、黄色ブドウ球菌による食中毒は「毒素型」に分類されます。

この菌が産生する毒素はエンテロトキシンと呼ばれ、これが黄色ブドウ球菌食中毒の最大の特徴であり、予防の難しさにつながっています。

菌の種類/分類/発症のメカニズム

黄色ブドウ球菌毒素型食品中で菌が増殖し、**毒素(エンテロトキシン)**を産生。
毒素を摂取することで発症。

O157、サルモネラなど感染型菌自体を摂取し、体内で増殖・感染することで発症。

エンテロトキシンの脅威:加熱しても無効!

エンテロトキシンは、非常に熱に強い耐熱性の毒素です。

加熱への抵抗性:
一般的な調理で行われる100℃で30分程度の加熱では分解されません。

つまり、
一度食品中で黄色ブドウ球菌が増殖し毒素が作られてしまうと、食品を十分に加熱調理しても食中毒を防ぐことはできないのです。

食中毒の症状と原因食品、そして冬場のリスク要因

1. 症状と潜伏期間

黄色ブドウ球菌による食中毒は、潜伏期間が非常に短いのが特徴です。

潜伏期間:摂取後30分から6時間(平均3時間)程度
主な症状:激しい吐き気、嘔吐、腹痛が主で、下痢を伴うこともあります。
症状の経過:比較的軽症で済むことが多く、通常は1〜2日程度で回復に向かいます。

2.主な原因食品と発生事例

原因食品の多くは、人の手を介して汚染されたものです。

原因食品の例:おにぎり・弁当: 調理従事者の手指から菌が付着しやすい代表例です。
サンドイッチ、和菓子(特に餅類)、調理パンなどの製造工程で人の手が触れる機会の多い食品。
乳製品、肉加工品など、加工段階で汚染されたもの。

3.冬場に特に注意すべきリスク

冬場はノロウイルス対策が中心になりがちですが、黄色ブドウ球菌に対するリスクはむしろ高まることがあります。

手指の荒れ・傷の増加:冬は空気が乾燥し、水仕事などで手が荒れ、ひび割れやあかぎれができやすくなります。
これらは黄色ブドウ球菌の温床となります。

暖房による室温の上昇:冬でも、暖房の効いた室内やキッチンは菌の最適増殖温度帯(30℃~37℃)に保たれることがあり、食品を常温に放置すると急速に増殖するリスクがあります。

毒素を作らせない!黄色ブドウ球菌食中毒の具体的予防策

前述のとおり、この食中毒は加熱で毒素を分解できないため、「菌を食品につけないこと」「菌を増やさないこと」の二点が予防のすべてとなります。

1.徹底した「菌を食品につけない」対策

汚染源の多くは「ヒト」であるため、調理従事者への衛生管理が最重要です。

手洗いの徹底と保湿:調理開始前、生の食材を触った後、トイレに行った後など、頻繁に正しい方法で手洗いを行います。
手洗い後は、乾燥を防ぐために保湿を行い、手荒れを防ぎましょう。
乾燥によるひび割れは菌の温床になります。
傷口の完全な保護:指や手に化膿した傷やひび割れがある場合は、調理作業を控えましょう。
作業を行う必要がある場合は、傷口を防水性の絆創膏などで完全に覆い、その上から使い捨ての手袋を着用し、頻繁に交換します。
鼻や髪を触らない:鼻腔内に常在しているため、作業中に鼻や髪を触れたり、咳やくしゃみをしたりしないよう注意します。

2. 厳格な「菌を増やさない」対策

毒素を産生させないための温度・時間管理が必須です。

迅速な調理と提供:調理した食品は、できるだけ早く喫食しましょう。
厳格な温度管理:調理済みの食品を保存する場合は、10℃以下で低温保存し、菌の増殖を抑えます。
特に10℃~50℃の菌が増えやすい温度帯に食品を放置しないことが重要です。

サポウイルスにかからないようにするためには?

黄色ブドウ球菌食中毒は、ヒトの体から食品へと移り、増殖・毒素産生という複雑な経路を辿ります。
この食中毒を予防するためには、調理現場における「人」に対する衛生管理の徹底が不可欠です。

1.HACCPに基づく衛生管理の重要性

黄色ブドウ球菌食中毒の予防は、まさにHACCPの考え方に基づいています。

危害要因分析(HA):
毒素産生型である黄色ブドウ球菌を「調理従事者の手指」を介した汚染として特定すること。

重要管理点(CCP):
「手指衛生の徹底」「温度管理」などを重要管理点として設定し、確実に記録・実行すること。

2.株式会社ニイタカ様のおすすめ衛生管理アイテム

黄色ブドウ球菌対策の鍵である「手指衛生」と「調理環境の清浄化」をサポートするため、プロの現場で広く使われている株式会社ニイタカ様の製品をいくつかご紹介します。

黄色ブドウ球菌対策における役割
手洗い薬用ハンドソープ
薬用ハンドソープ コンク:手指に付着した菌を洗浄・殺菌し、菌を食品に移すリスクを低減します。
特に泡タイプは擦り洗いしやすく、手荒れ防止成分配合のものもあります。

手指消毒アルコール製剤(手指用)
セーフコール75:手洗いで落としきれない菌を素早く消毒します。
水分の蒸発と同時に消毒効果を発揮し、乾燥しがちな冬場の手指衛生をサポートします。

3.弊社では、これらの衛生商品の導入サポートに加え、お客様の衛生管理体制の強化を全面的にサポートいたします。

衛生管理サポート:HACCPに沿った衛生管理計画の策定、現場でのモニタリング指導、従業員向けの衛生教育セミナーなどを通じて、黄色ブドウ球菌を排除できる現場づくりを支援します。

検査サービス:食品の自主検査だけでなく、調理器具や調理従事者の手指の拭き取り検査を実施することで、現場に黄色ブドウ球菌が存在しないかを確認し、リスクの「見える化」をサポートします。

冬場も気を抜けない黄色ブドウ球菌対策は、日々の地道な衛生管理が成果を決めます。

冬場に特に警戒すべき黄色ブドウ球菌による食中毒のメカニズムと、毒素を作らせないための具体的な対策について詳しく解説しました。

黄色ブドウ球菌の予防は、
地道な「人」に対する衛生管理と、それを支える適切な衛生用品(ニイタカ製品含む)の導入、
そして継続的なチェック体制
が鍵となります。

弊社は、お客様の「食の安全」と「信頼」を守るパートナーとして、HACCPに基づく衛生管理の仕組みづくりから、効果的な食品・拭き取り検査、そして従業員の衛生教育まで、トータルでサポートいたします。

食品衛生に関してお困りのことや、具体的な検査のご相談がございましたら、いつでもお気軽に弊社までお問い合わせください。

安心・安全な食環境を共に築いていきましょう。

出典元

根拠となる情報(厚生労働省)黄色ブドウ球菌食中毒の解説:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/shokuchu/detail/detail.html

加熱毒素に関する記述:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/dl/pamph_1.pdf (P.4)

Contactお問い合わせ

丸信の衛生サービスについて知りたい方、
お気軽にお問い合わせください。

衛生の事ならどんな事でもお任せ

今すぐ問い合わせる!

Eメール