HACCP
2025/01/21
この度は食品工場向けのペストコントロールについてご紹介をさせていただきます。
「ペスト」とは害虫(ゴキブリ・蚊・チョウバエ・ダニ等)・ネズミ・害鳥(ハト・カラス等)などの有害生物のことをいいます。そして、人に有害な生物の活動を、人の生活を害さないレベルまでに制御する技術を「ペストコントロール」と言います。食に関する衛生面で、問題になりやすいのが害虫です。対策や対処をするには、まず特性を知り、発生・侵入した原因を突き止めることが重要と言えます。
またペストコントロールを行う上で重要な事項として、常に害虫などが流入してくる可能性を考慮した管理を行うことになります。日本でも有名な害虫としてチャバネゴキブリなどが挙げられますが、そういった害虫はわずか数ミリの隙間から流入してくることが御座います。また併せて、そういった狭い隙間へ身を隠すことが容易なため発見は非常に困難になります。そして気づいたときには繁殖力の高い害虫などは大量発生し、製品である食品に入り込んでしまうことになります。
鶏舎や豚舎の動物糞、牛舎の堆肥、ゴミ処理場のゴミなどからよく発生します。ハエ類は、サルモネラや赤痢菌、赤痢アメーバや各種の寄生虫、およびポリオウイルス(小児麻痺)を伝播することが知られており、特にイエバエは病原性大腸菌0-157を媒介することが知られているため、衛生上、極めて重要な害虫です。人体に入ると、ハエ症を引き起こすこともあります。
夏の終わり頃の日没時などに群れで飛んで「蚊柱」を作る特徴があるユスリカは、蚊に似ていますが、人を刺すことはありません。しかし、大量発生し、工場の異物混入の原因になったり、アレルゲンとなる死骸やその粉末を吸入してしまった場合には、ユスリカ喘息を引き起こす危険性があるので注意が必要です。
蚊によく似ていますが、蚊よりもはるかに大きい虫です。成虫になっても人を吸血することはありませんが、幼虫のときに稲や麦を食害する種類もいます。光に誘引されて屋内に飛来してきます。叩くと体の部位がバラバラになり、異物混入にもつながるので、工場などでは注意が必要です。
羽ありは繁殖行動として結婚飛行をおこないます。この際、羽ありの大群が発生し、灯火などに誘引されて家庭内に侵入することがあります。基本的には野外で生活していますが、エサを求めて僅かな隙間から屋内に侵入することもあります。
後脚の腿節がノミのように太いハエ類で、溜めた生ゴミ、清掃していない排水管、風呂場の浴槽下等から大発生することがあります。ノミバエは非常に小さく、俊敏で、食材や食品に異物として混入するリスクが高い害虫です。汚物やヘドロが堆積する不潔な箇所で発生するため、食品に接触した場合、食品衛生上も重要な問題となります。
パン、腐敗した果物・野菜、ビールなどの酒類、フルーツジュースといった発酵物に集まり、生息、繁殖する習性があります。ショウジョウバエは食材を扱う施設で発生しやすく、食材や食品、飲料へ集まる習性があるため、異物混入を生じるリスクが非常に高い害虫です。
ではどのような対策を行うべきでしょうか?
①寄せない・・・薬品を使用して、工場自体に寄せ付けない工夫が必要になります。
②入れない・・・外注が工場に入らない工夫が必要になります。エアシャワーやカーテン・そして明かりの近くに工場内に入る隙間がないかのチェックなど
③取りきる・・・捕虫器などを、扉の近くに設置し流入してきた外注を捕獲する必要が御座います。※捕虫器を作業台の近く(2m以内)に設置すると、異物混入の要因になるため離した環境を維持するようにしてください。
この手法をモニタリングといい、期間を区切って記録し、データ化することで、更なる防虫対策に役立てることができます。